MAGAZINEマガジン
本日の一冊
音と音の、「間」ま とは違う...「/」あいだ。 原雅明『アンビエント/ジャズ』
昨年購入し、そのまま本棚に眠っていた一冊。
![]()
原雅明さんの『アンビエント/ジャズ マイルス・デイヴィスとブライアン・イーノから始まる音の系譜』。
あらためて読み始めたら、これがなんとも洒落ている。
原さんは、文筆、選曲、レーベル運営などを通して、音楽を紹介するだけでなく、埋もれた音を発見し、新たな文脈へ置き直してきた人でもある。
この本も、単なるジャズとアンビエントの歴史ではない。
面白いのは、
マイルスの中に、アンビエントを聴く。
イーノの中に、ジャズを聴く。
という、いわば逆光から音楽を観ること。
マイルス=JAZZ。
イーノ=AMBIENT。
そんなジャンルの札をいったん外し、その「/」のあいだに耳を澄ませていく。
マイルスからイーノ、ECMへ。
そして後半、その旅は日本へと巡ってくる。
菊地雅章。
芦川聡、吉村弘、尾島由郎。
清水靖晃。
高田みどり。
なかでも、菊地雅章の電子音楽『六大』を掘り起こし、清水靖晃の音を「質感」から捉えるあたりがオモシロイ。
日本の環境音楽もまた、「何を演奏するか」だけではなく、
どこで鳴るのか。
何と響くのか。
どんな「間」を残すのか。
そんなところへ音を開いていったように感じる。
これは「観る旅」ならぬ、「聴く旅」。
そして、内容だけではない。
佐々木暁さんによる装丁もいい。
手に取り、頁をめくる。
紙質や手触り、色彩、もちろん、余白や文字、その佇まいまで含めて、なんとも洒落ている。
マイルス/イーノ。
JAZZ/AMBIENT。
音/静寂。
西洋/日本。
どちらか一方を選ぶのではなく、その境界にある「/」を聴く。そこから、まだ名前のない音楽が聴こえてくる。
聴くとは、音を捕まえることではなく、音と静寂の「あいだ」に身を置くことなのかもしれない。
昨年買って、いま、開いた一冊。
本にも、音楽にも、また、人にも出会うべき「時」があるよね〜


