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万物日本霊長辞典 本日の一本

すみません!半世紀ぶりに〜あらためて、映画評論家佐藤忠男さんとの交歓

*TAO LABより
映画を観ることは、人を観ること。

映画評論家・佐藤忠男さん、ご存じですか?
このドキュメントの存在を知り、佐藤さんのことを思い出した。


寺崎みずほ監督の『佐藤忠男、映画の旅』

2019年から晩年の佐藤さんを撮影し、その人生を辿りながら韓国へ、そして彼が愛した『魔法使いのおじいさん』を求めてケーララ州へ旅してゆく作品だ。

僕が彼の存在を知ったのは、小学校髙学年から中学一年生の頃。
雑誌に載っている原稿を読み、ませガキの僕は著作も読み始めた。

僕はモノゴコロつく前から映画館が、映画が大大大好きだった。
映画監督。俳優。カメラマン......映画に直接かかわるシゴトはいろいろある。
けれど当時の僕は〜映画評論家なら、いろんな映画を見放題じゃん:)と思った。

そこで佐藤忠男さんに、
「映画評論家になるには、どうしたらいいですか?」
と手紙を書いた。
中学1年生の頃、今から半世紀以上前の1972か73年の話。

当時、1930年生まれの佐藤さんは40代前半。
驚いたことに、それから間もなく、ちゃんと返事が届いた。

そこには、
映画をたくさん観なさい。
映画だけでなく、本を読みなさい。
音楽にも触れなさい。
そして、人に興味を持ちなさい。

そんなことが、中学生の僕にもわかる優しい言葉で書かれていた。

そして最後に、ひとつ。
僕が手紙に書いた「すいません」という言葉について、
「この場合は"すいません"ではなく、"すみません"が正しい。日本語をきちんと話し、書けることも大切です」
と諭してくれた。

嬉しかった!
半世紀以上経っても、これを憶えている。

考えてみれば、佐藤さんが教えてくれたのは「映画評論家になる方法」ではなかったのかもしれない。
映画だけ観ていても、映画は観えない。

本を読む。
音楽を聴く。
社会を観る。
そして何より、
人を観る。

映画とは、人がつくり、人が演じ、人が観るものだから。

*独学から、世界へ
佐藤忠男さんは1930年、新潟生まれ。
大学で映画を学んだ人ではない。
働きながら定時制高校へ通い、その合間に映画と本を浴びるように観て、読み、映画雑誌へ投稿を続けた。
24歳で最初の著書を出版。そこから60年以上にわたり、日本映画、大衆文化、教育、そしてアジア映画について書き続け、著書は150冊を超えた。


代表的な仕事のひとつが、全4巻に及ぶ大著『日本映画史』。

けれど佐藤さんの眼は、日本だけに留まらなかった。
まだ「アジア映画」という言葉さえ日本で一般的ではなかった頃から、韓国、中国、インドをはじめとするアジア各地へ自ら足を運び、映画を観て、映画人に会い、日本へ紹介していった。

批評家であり、教育者であり、
映画によって、人と人、国と国をつなぐ人。

日本映画学校の校長、のちの日本映画大学学長として後進を育て、2019年には映画評論家として初めて文化功労者に選ばれている。

日本映画
そして、インドへ。
そんな佐藤さんが、膨大な映画の中から愛した一本。

G・アラヴィンダン監督のインド映画、『魔法使いのおじいさん』。
原題は『Kummatty』。

南インド、ケーララ州の映画だった。
これには、ちょっと鳥肌。

TAO LAB BOOKSの原点は、インドから届いた『神の詩 バガヴァッド・ギーター』だ。
そして、ケーララはインドでも一番好きなエリアだ。

中学一年生だった僕が手紙を書いた映画評論家が、人生の果てに「世界で一番好き」と語った映画もまた、インド ケーララだった。

GO-EN-GO。
3月17日。

さらに、もうひとつ。
佐藤忠男さんが亡くなったのは、
2022年3月17日。91歳。
3月17日。
僕の誕生日でもある。

もちろん偶然と言えば、それまで。
でも、人生には後から振り返ったとき、佐藤さんとの点と点の「あいだ」に一本の線が浮かび上がることがある。
13歳の少年 → 一通の手紙 → 映画 → 本 → インド → 3月17日。

半世紀以上かけて、点がマワリテメグってきた、寺崎さんのドキュメンタリーのお陰。
そして半世紀以上前にもらった言葉を、もう一度思い出している。

映画を観る。
本を読む。
音楽を聴く。
人に興味を持つ。
そして、日本語をちゃんと使う。

佐藤さんの手紙...は「世界をどう観るか」を教えてくれた、感受性が柔軟だった思春期を迎えた僕への天からいただいた授業のひとつだったのかもしれない。

「すみません」、佐藤忠男さん。
半世紀以上経ってしまいました...あらためて伝えさせてください。
どうも〜ありがとうございます。

そちらはいかがですか?
残りの人生のソウゾウ、映画=アニメですが、創りたく、ぜひ、お力お貸し下さい。

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