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「自他一如」〜医の現場から見えること〜 by 岡田恒良

第十六回 『命令や強制は流行らない』 

 前回アルゼンチンまで行って発表してきた事について書きました。

この自己中心性というものが、ぼちぼち世間で流行らなくなる!!という事を知ってほしくてお話をしてきました。この流行らないという事、みっともない、時代遅れ、かっこ悪いという事、こういう流れが世の中を大きく変えるのです。親分風を吹かせる、上から目線、無理な命令、仕事の強制。年上だから、上司だから、部長や課長だからというだけで態度が変わる人たち。セクハラに始まり、パワハラ、モラハラという概念が広く広まっていくこと、世の行動様式が大きく変わる原動力になるでしょう。

 今後差別的発言はできなくなり、優劣や単純な善悪で人を評価することがだんだん行われなくなってきます。思えば、はるか3−4千年の長き間、見事に階層社会を築き上げ、良くも悪くもその中で必死で生きてきました。なんとか這い上がろうと努力し、必死の競争をし、また落とされまいと差別し、搾取し、守りの態勢をつくってきました。

 こうした保身的な自己中心性が生まれたのは、まだ4000年ほど前のこと。徐々に貧困や飢餓が起こり、それが原因でささいな争いが高じ、そして徐々に大きな戦争に至ったことは明らか。忘れてならないのは、決して争うことがホモサピエンスの天性ではないのです。そもそも共同作業や、優れた言語による協調性がなければ原野における生存は成り立たなかったのですから。ネアンデルタールに打ち勝ったのは、腕力でなく、協力体制だったのですから。

 いつの頃からかこの階層社会が極にまで達し、深刻な上下の開きができてしまっています。これが虐殺や戦争を起こし、環境も悪化させ続け、日常生活を脅かしています。ではどうしてこんな弱肉強食の自我社会を作り必要があったのか、それに対する一つの答えが、先に書いた、隕石衝突からの回避なのでしょう!46億年の地球史で隕石の衝突が何度も起こり、危うく全ての生命体が絶滅するところでした。

 日本の「ハヤブサ」など宇宙開発の進歩で小惑星、小天体にも到達可能になり、隕石衝突の大災害を回避する技術がほぼ確立しました。もう大丈夫です。自己中心性の使命は終焉です。さあ、このあとは仲良くやろうではありませんか、知恵を分かち合い、技術を分かち合いましょうや。国の違い、民族や宗教の違いなど些細なこと、こだわってもしょうがない。垣根を取り払う時です。

 2000年秋、東京で名を一切おっしゃらない人物に逢いました。
何しに来た?と言われ、実は千島学説をはじめとした自然医学や無農薬農業、自然エネルギー、食養生、麻の復活、そんなことを推し進める活動をしていると話しました。するとそんなにたくさんのこと、できるんか?との返事。何か肝要なのか!それがわかっているのか?そう聞かれ、返事に窮してしまったこと、鮮明に記憶しています。 ...続く

*TAO LABより
協調性.png
【協力体制=得意貢献(自己中ではなく、個性を活かし、繋がる)こんなイメージ?】

*著者 プロフィール
なごやかクリニック院長
名古屋醫新の会代表 
岡田 恒良(おかだつねよし)
https://www.facebook.com/tsuneyoshi.okada1
1955年岐阜県生まれ
1980年岩手医科大学卒
約20年消化器系一般外科医として通常に病院勤務。市民病院で外科部長として勤務中、ある先輩外科医との運命的出会いがあり、過剰医療や過剰投薬の現状に気づき、自然医学に目覚める。
1999年千島喜久男博士の勉強会を名古屋で主催、マクロビオティックの久司道夫氏の講演会企画をきっかけに病院を辞職。
御茶ノ水クリニックの森下敬一博士の機関誌《国際自然医学》に「自然医学の病態生理学」を長期連載。中山武氏の主催するがんの患者会「いずみの会」の顧問をしながら安保徹教授の講演会を開催し、親交を深めた。
看護学校にて補完代替医療について講義中。
2006年コロンビアのドクトル井上アトム氏に出会い、運動療法・自然療法の重要性を認識。以来南米に3度訪れる。 「自他一如」の探求は2000年から続く。

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