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派手さは無いがじんわりと沁みる良作〜『ホウセンカ』

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*TAO LABより
"お前たちが来た日のこと、よく覚えてるぜ"
『オッドタクシー』木下麦(監督・キャラクターデザイン)と此元和津也(原作・脚本)のタッグが贈る、"大逆転"に人生を賭けた、ある男の愛の物語。

「ろくでもない一生だったな」

無期懲役囚の老人・阿久津が独房で死を迎えようとしていたとき、声を掛けたのは、人の言葉を操るホウセンカだった。"会話"の中で、阿久津は過去を振り返り始める。
1987年、夏。海沿いの街。しがないヤクザの阿久津は、兄貴分・堤の世話で、年下の那奈とその息子と、ホウセンカが庭に咲くアパートで暮らし始めた。縁側からは大きな打ち上げ花火が見える。幸せな日々であったが、ある日突然大金を用意しなければならなくなった阿久津は、組の金3億円の強奪を堤と共に企てるのだった――。

「退路を絶ったもんだけに、大逆転のチャンスが残されてんだよ」

ある1人の男の、人生と愛の物語。

「退路を絶ったもんだけに、大逆転のチャンスが残されてんだよ」
これは阿久津さんが部下に言うセリフですが、本作のキーワードとなっています。

また、時代背景のひとつはバブル全盛〜私はバブルとは関係のない暮らしでしたが、当時、熱海でお店をやっていました。
熱海といえば、稲川会の本拠地でした。バブルが始まるころ、稲川さんが所有していた熱海のビルはエミール・ガレの美術館となっていました。そこの館長夫妻(年下でした)をエルというブルーボーイ〜彼女は勝新太郎さんにもとても可愛がられていました〜長年、仲良くお付き合いのあった彼女が紹介してくれました。彼らは私が当時やっていたTAORIUMというお店と私という存在を大いに気に入ってくれ、物心ともに応援してくれていました。

今思うとその支援のお足はバーブルによって巡ってきたお金だと判ります。そういう意味では、バブルに私は助けられていたともいえます。
その語、彼らはバブルの崩壊と共に熱海を離れ、二人は別れ...数回、どちらとも連絡をいただきましたが、いつしか、その糸は切れ...あらためて彼ら、どうしているのかなぁ〜元気かな?ボチボチと幸せだったらいいけど。私にとってはありがたい存在でしたから、真摯にそう祈ります。

さて、この映画のヤクザさん、阿久津さんが打ったボールは?どんなカタチの大逆転を放ったのか??

「退路を絶ったもんだけに、大逆転のチャンスが残されてんだよ」

それを是非、ごらん下さい。
ある意味、ほっこりといたします:)

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