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本日の一枚

ANTONY AND THE JOHNSONSの2nd『I Am a Bird Now』魂の揺らぎと変容を静かに見つめる詩集。


Bird Guhi

*TAO LABより
アノーニの2016年のアルバム『Hopelessness』愛聴していました...UK出身、NYに住む一人の〈女性〉アーティストです。もう少し突っ込んで説明すると、この女性はトランスジェンダーです。

彼女は90年代半ばから究明でもある彼=アントニーとして「アントニー&ザ・ジョンソンズ」を率い、アルバムも多数発表している人物です。
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今回紹介するのは彼らの2005年2ndアルバム『I Am a Bird Now』

薄明のようなピアノと弦楽器を背景に、死と喪失、孤独と連帯、性の流動性、自己の再生──痛みを透明な翼さに変え、大空へと羽ばたこうとする軌跡を記録したアルバムかな。

アルバムジャケットもまた象徴的〜これはアントニーではなく、アンディ・ウォーホルのスーパースター、キャンディ・ダーリングの臨終時の写真が用いられてます〜生と死、それは都市の「闇」の存在の縁を彷徨いながらも、「鳥」として飛ぼうとする情熱と傷をひたむきに歌い上げたこの作品と共鳴しています。


Hope There's Someone

彼女、天使のようなファルセット・ヴォイスで、ルー・リードやルーファス・ウェインライト、ビョーク、ヘラクレス&ラヴ・アフェアなど数多くのミュージシャンを魅了してきました...

話は少し変わりますが〜近ごろ耳にするLGBT運動に、どうしても違和感を覚えることがあります。本来「自由」や「尊厳」を求めるはずの声が、いつしか「正しさの押しつけ」へと反転してしまう瞬間。そこにあるのは、愛ではなく我(エゴ)という名の「傲慢」や「逆差別」のエネルギーかもしれません。

本来、こうしたテーマは外に向かって扇動的に訴えるものではなく、ひとりひとりの内側に生まれる「理解」と「思いやり」から静かに始まる運動だと思います。それは、誰かに勝つためではなく、ただ、共に在ることを許し合うための小さな祈りのようなもの。

人はそれぞれ違う個=次元=惑星から来た旅人。だからこそ、互いの重力を尊重しながら、多様性が存在する「ひとつの宇宙」をつくっていけたらと願います。

19歳の時にあるトランスジェンダーと出会いました。キュートで愛くるしく、また、妖艶でお洒落〜センス最高!ぶっ飛んだ彼女(お○ん○んはあるのに...彼と思ったこと一度もありません)とはその後、十数年、彼女が北陸に行くまで付き合いが続きました。

...そして、ある日ある時、彼女が肉体を離れたことを知りました...

このアルバムは、変容=transformationの記録であり、やがて"私は鳥になる"という宣言です。
ウォーホルの夜の残響、キャンディ・ダーリングの微笑、そのすべてを包み、アントニーは言っています。

「I am a bird now.
この小さな肉体を、ようやく超えられる。」

彼女も鳥になっていますように〜エル、どんななの?そちらは??楽しく囀り、自由に羽ばたき、ますますお洒落してこの「宇宙〜そら」を飛び回っていてね!

*おまけ


Knockin' on Heaven's Door

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