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本日の一本

地獄と天国、絶望と再生... 許しを請い、許せるように〜小さな光『エミリア・ペレス』


Subiendo (Part 1)

歌詞
Subiendo al cielo
Cayendo al abismo
Flotando en el limbo
Llegando al éxtasis
Tocando el fondo

翻訳
天空へ昇り 
奈落へ落ち 
宙に浮かび 
恍惚へ達し 
底を打つ

「最終的には、自分が泣ける映画を作りたかった...今は本当に暗い時代だからこそ、人々が一緒に心を動かされ、涙を流すことを自分に許すことが大切だと思ったから」
ジャック・オーディアール監督

*TAO LABより
オープニングの上記音楽=歌詞と響きにまず、グッと捕まれてしまいました...
メキシコ映画だと思っていましたが正確にはメキシコを舞台にしたフランス映画でした。

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『エミリア・ペレス』(原題:Emilia Pérez)
監督・脚本: ジャック・オーディアール(フランス)
ジャンル: スペイン語によるミュージカル・クライム・コメディ
主なキャスト: ゾーイ・サルダナ(リタ)、カルラ・ソフィア・ガスコン(エミリア/マニタス)、セレーナ・ゴメス(元妻ジュシー)、アドリアーナ・パス(出会う女性)

物語は、麻薬カルテルのボスが弁護士の助けにより女性として再出発しようとする...という大胆な設定で、罪と救済、性、アイデンティティといったテーマをミュージカル仕立てで描いています。

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監督はこの映画の着想を、ある新聞記事で「性別移行を経て人生をやり直したいと望む麻薬カルテルのボス」という話を読み、そこから物語の核を得たとインタビューで語っています。
彼は長年、犯罪映画や社会派ドラマを撮ってきましたが、「暴力の世界に生きる人物が、最も個人的で繊細な変化を望む」という逆説的なテーマに強く惹かれたそうです。

なるほど...このボス誰かな?と思い、捜しましたが確認は取れませんでしたが、、、ジャンルを超えた異色のミュージカル・クライムドラマとして、重いテーマを鮮やかにエンタメに昇華し、音楽で感情を高めつつ、女性たちの連帯と再出発を力強く描いている点にあります。
エミリアの生きざまを軸に語られる"和と共感の力----それは映画だからこそ成立した物語"として、とても印象に残りました。

"銃声の止んだ夜、彼女=彼は心の奥で、まだ聴いたことのない歌を口ずさむ。
それは罪の海を渡る舟、そして新しい名を抱く翼。"

音楽もこの映画の"異色さ"と"感情の振れ幅"を支える大きな柱になっています。ズッシときましたよ!

オススメの一本〜そして...
4度目のメキシコ、行きたくなっちゃいました〜:)

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