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時を超えたエレガンス+色彩と文化の交差点『ETRO』

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『ETRO』は1968年、ジンモ・エトロによってテキスタイルブランドとして創業されました。彼はアンティークショールの熱心な収集家であり、特にインド・カシミールの伝統的な紋様であるペイズリー(カシミール柄)を現代に蘇らせたことで知られています。
1981年にはそのペイズリー柄主体の生地やホームコレクションを発表し、1989年にはバッグや香水へとラインを拡大し、ファッションブランドとしての地位を確立しました。

*TAO LABより
ハワイ・オアフ島、緑深い渓谷と熱帯雨林に抱かれた「マノア渓谷」。

90年代半ば、私はその渓谷の洞窟を自らの住まいにアレンジして暮らしていた一人の日本人と親しくなりました。彼はグラフィックデザインの世界で名を知られた人物でしたが、ハードな仕事から距離を置き、なぜかハワイのその特異な環境に身を置いていたのです。

彼から教えられたのが「素晴らしいよ」と語られたブランド――『ETRO』。

詳細はすでに霞んでしまいましたが、イタリア発のブランドが成長する過程で、洒落たある日本人の方のセンスとビジネスが大いに寄与した、という物語を聞いたのを覚えています。

調べてもネット上にはその痕跡は見当たらず、大きな記憶違いなのか? いや、確かに耳にしたはず...だからこそ、ETROが他のラグジュアリーブランドとどこか異なる独特の輝きを放っているのではないか、と、強く惹かれたのでした。

その話を聞いた私は、早速ワイキキにあったETROの店を訪れました。まだ当時は洋服よりも布のデザインが中心だったと記憶していますが、その色彩とパターンの大胆さ、優雅さに一瞬で心を奪われました。

そして、その時代に大好きだった彼女へ――一本の腰布を贈りました。
スタイルの良い彼女はエスニックな容姿をしており、ETROのもつ優雅さとどこかサイケデリックな感性が、まるで彼女のために仕立てられたかのように似合っていたのです。
嬉しくなっちゃう〜バッチリなプレゼントでした:)

優雅さ
→ エトロの繊細なペイズリーパターンや上質素材に漂う時代を超えた気品
サイケデリック
→ 幾何学的、記憶喚起的なビジュアルが視覚の錬金術を誘う

さらに最近、その詩的な世界に、新たな旋律が加わりました。

転換の予感
→ LVMH資本による新しい支援の川、そして可能性としての未来への橋渡し

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2021年、LVMH関連の投資ファンド『L Catterton』が『ETRO』の過半数(60%)を取得したそうです。この融合が、伝統に未来が溶け込み、光(資本とデザインの融合)が新たな夢を布に編むのか?楽しみですね!

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それから30年余り...
彼女には何度か『ETRO』プレゼントしましたが、この夏、はじめて「わたし」にこちら贈りました。
前から『ETRO』の海パン、履いてみたかったんです、「夢」一つ叶えました〜:)

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エーゲ海で履きたかったんだけど、同じような海と空の色かな?
下田白浜にて。

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