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本日の一枚

時間と空間への意識を解きほぐし、意識の中に新たなセカイを広げる『しずくたち』

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*TAO LABより
時間に絵を描き、空間に音を刻んだような作品...1978年に録音された日本のサウンドアートの傑作『しずくたち』を今回はご紹介

■高野昌昭さんとは?
1927年ー2007年
1950年代に舞台音響プランナーとしてキャリアをスタート。
その後、電子音から距離を置き、1980年代に自作音具によるパフォーマンスや自然音収集を本格化。

■しずくたち
この作品は全篇は"水滴"(滴)の音だけで構成されており、スタジオに自作した「水琴竹(すいきんちく)」という装置を設え、水滴が奏でるひとつひとつの響きを丁寧に収録しています。


しずくたち Side A
瞑想的でありつつ、水滴のリズムが生む"建築的"な構造が感じられます。



しずくたち ide B
よりパーカッシブでミニマルな展開があり、サブリミナルな"ドラム・マシン"のような躍動を体験できます。

1. 極限のミニマリズム
電子音や人工音を一切排除し、ただ「しずく」が落ちる自然のリズムと微細な残響だけで音を紡ぎます。その引き算の美学は、静謐さと透明感を極限まで高め、聴く者の意識を研ぎ澄ませるアート作品となっています

2. 自然音の芸術的探求
高野昌昭はもともと舞台音響の専門家でしたが、70〜80年代にかけて自然音に魅せられ、独自の音響装置を用いて音源そのものを「素材」として扱うスタイルを確立。その成果が本作のスタジオ録音です

3. 先鋭的な音響設計
「水琴竹」は、日本庭園にある水琴窟(すいきんくつ)を思想のヒントに、自作楽器として再構築したもの。聴く者は一滴の水が奏でるマクロな音世界に引き込まれ、リズムや構築性を感じ取る詩的体験を味わいます


この作品は本年、2025年にクリアLPとCDで復刻されました。
復刻版は、透明度の高いクリアヴァイナル、和紙風の美しい装丁、豊富な解説を収録したブックレットなど、所有欲と音体験の両方を満たす仕様でリリースされています。

美しい!このようなフッコウのシゴト、私も書籍や音楽通してやりたいと思います。

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