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本日の一本 本日の一冊

紋章上絵師 波戸場承龍さん・耀次さん

*TAO LABより
先日手に入れたこちらの書籍。

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紋の辞典:波戸場承龍+波戸場耀次

ひょうんなことで波戸場承龍さんの存在を知り、昔から家紋のデザイン、とてもカッコいい美しいと思っていました。

◆家紋とは?
日本の家紋は、単なるデザインではなく、その家の歴史、系統、誇りを示す重要なシンボルです。その起源は古く、平安時代にまで遡ります。

家紋のルーツは、平安時代中期(10世紀頃)に公家(貴族)の間で用いられ始めた「紋様」にあるとされています。当初は、自身の持ち物(特に牛車や衣服など)に施された装飾的な意味合いが強く、その優雅さや縁起の良さを競い合っていました。

平安時代後期から鎌倉時代にかけて、武士の台頭とともに家紋は新たな役割を担うようになります。

江戸時代に入り、世の中が安定すると、家紋は武士だけでなく、広く庶民にまで普及しました。
元禄時代(17世紀末~18世紀初頭)には、庶民も自由に家紋を選んだり、好みの紋を作ったりするようになり、家紋の種類は飛躍的に増加しました。奇抜なデザインも多く生まれ、家紋は儀礼的な意味合いだけでなく、装飾としても楽しまれるようになりました。ただし、天皇家の菊紋や徳川将軍家の葵紋など、一部の家紋は使用が制限されていました。

明治時代には、国民が名字を名乗ることが義務付けられ、戸籍制度が整備される中で、名字とともに家紋を定める習慣が一般化しました。現代においても、家紋は冠婚葬祭用の着物や墓石、仏壇などに用いられ、日本の伝統文化として深く根付いています。

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家紋は円と線で描かれており、円には「縁」や「宴」、「和」といった日本人が古来から大切にしてきた「やまとこころ」が、線には武士の心に代表される一本筋の通った心意気が表現されています。余計なものをそぎ落とし、カタチの本質のみを捉えた美しさを「円と線」で描く手法...いや〜粋ですね!!!


◆波戸場承龍さん
東京都中野区出身の紋章上繪師です。1956年生まれ、1910年に初代・波戸場源次氏が東京・京橋で創業した「京源」の三代目にあたります。
家紋を手描きで描く職人としての技術を継承しつつ、現代的なデザインやアートの分野でも活躍されています。

「誂処 京源」の設立とデジタル技術の導入
2010年、波戸場さんは息子の耀次さんと共に工房「誂処 京源」を立ち上げました。この工房では、伝統的な手描きの技法に加えて、Adobe Illustratorなどのデジタルツールを活用し、家紋の新たな表現方法を模索しています。これにより、家紋のデザインを現代のライフスタイルやプロダクトに取り入れる取り組みが進められています。


独自技法「紋曼荼羅®」とアート作品
波戸場さんは、円と線のみで構成される家紋の特性を活かし、独自の技法「紋曼荼羅®(もんまんだら)」を開発しました。この技法では、円と直線を組み合わせて複雑な模様を描き出し、家紋をアート作品として昇華させています。また、特大ボードに太鼓鋲で紋を表現する「Mon × Studs」や、3Dトリックアートオブジェの「USARA」など、家紋の新たな表現方法を追求しています。


コラボレーションと展覧会
波戸場さんは、ファッションブランド「ヨウジヤマモト」とのコラボレーションを行い、2019〜2020年秋冬メンズパリコレクションで彼のデザインがテキスタイルやボタンに採用されました。また、2024年11月から2025年1月にかけて、東京・京橋のBAG-Brillia Art Galleryで開催された展覧会「縁と線 -京源のキセキ-」では、彼の作品が展示され、多くの来場者を魅了しました。



KAMON the Avant-garde - 紋章上繪師 京源 Japanese family crest artisans


東京 和のたくみ 紋章上絵師 波戸場承龍さん・耀次さん

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装いもお洒落な親子ですね〜:)

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