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万物日本霊長辞典
彫師"GAKKIN"とタトゥアーティスト"ジュン・松井"(L.U.Z)
*TAO LABより
親から「それだけはやっちゃダメ」と言われると、つい、やりたくなってしまう----それが若さであり、息子としての"バカさ"の証明、つまりは存在証明なんでしょうね:)
珍しく、父から唯一「絶対にやるな」と言われた"山登り"も、気がつけばやっていました。でも、母からの「入れ墨だけはするな」という言葉は、なぜかずっと守り続けています。今のところ、身体に墨は入っていません。
40年ほど前、初めてピアスを開けたときのこと。当時は家業を継いでいましたが、取引先の旅館の板長から「お前、オカマか!ふざけんなよ!」と激しく叱責されたのを、今でも覚えています(笑)。それが今では、板前さんもピアスをする時代。入れ墨----いや、TATTOOも同じように、今やファッションの一部として、多くの人が"自己の存在証明"として楽しんでいます。
実は、「TATTOO入れてみたいなぁ」と思ったこともあります。でも一生モノだからこそ、妥協のデザインじゃ納得できなくて。センスにシビれる彫師に出会えない限り、踏み出せなかったんです。
そして時代が進むにつれ、TATTOOもピアスと同じく、完全に"普通"になってしまいました。へそ曲がりな性分の自分は、逆に「何も入れていない方が、今はカッコいいかも」と思い始めたわけです。
加えて、どうやら皮膚呼吸にも関係があるらしく......邪気を受けやすい超霊媒体質の自分としては、サイズにも因りますが、TATTOOは排毒の観点からも避けた方が良さそう、というのも理由のひとつ。
----とはいえ、30年ほど前に「この人の作品なら...」と思わせてくれるアーティストに出会っていました。
◆ ジュン・松井
ジュン・松井は、ブラジル生まれの日系ブラジル人タトゥーアーティスト。1993年に東京で活動を始め、その後はブラジルを拠点に世界へとその名を広めていきました。
彼のスタイルは、マオリやポリネシアの民族文様と、日本の伝統刺青「和彫り」の精神性を融合させた唯一無二のもの。下絵やステンシルを使わず、人体の構造に合わせて即興で描くその技術は、まさに"生きたアート"と呼ばれています。
彼が東京・南青山で開いていたトライバルタトゥースタジオ「LUZ」は、ファッション業界が手がけたカフェレストランの一角にあり、外国人客が多く、ベジタリアンメニューもあるような、先進的な空間でした。自分もよくその店に足を運び、彼の存在を知ることになったのです。
そのアート性はタトゥーに留まらず、グラフィックやファッション、プロダクトデザインにまで及び、作品集『HARI』も出版されています。
◆ GAKKIN
彫師GAKKIN(ガッキン)は、伝統的な和彫りの文法を打ち破り、独自の解釈で世界に衝撃を与えるタトゥーアーティスト。現在はオランダを拠点に活動しています。
彼の作品は、モノトーンを基調とした波打つような文様が特徴で、西洋画と日本画の美学を融合させたような、唯一無二の"ダークで美しい"世界観を創出しています。一目で「GAKKINの作品だ」とわかる圧倒的な個性は、多くのファンを惹きつけてやみません。
さらに、娘のNOKOも若くしてタトゥーアーティストとして頭角を現し、親子でその才能を継承・進化させています。
先日、SNSにアップしたこちら〜実は、舐達磨の音楽と共に展開されるファッションセンスに惹かれて記録紹介したものです。
Tシャツ中心のラインナップの中に、ふと目を引く和テイストのアロハシャツが数点。
その独創的なデザインにグッと心を掴まれました----たとえば、こちら。
どうですか?
で、後から知ったのですが、自分が「これだ」と思ったデザインはすべて、舐達磨とコラボしているGAKKINさんの作品だったんです。
そこから改めて、GAKKINというアーティストの存在を深く認識しました。
気に入ったアイテムは、見事にすべてソールドアウト。残念ながら手に入らず...。
次回のコラボはこまめにチェックして、気に入ったら即購入、と心に決めています。
そしてもう一人、GAKKINさん同様に思い出されるのが、ジュンさん。
かつて洋服を手がけていて、当時購入したカンフーパンツはシルエットも素材も抜群で、長く愛用していました。
あれから約30年----さすがに履きつぶしてしまいましたが、今もどこかで定番として復活してくれたら...と願っています。
刺青を入れるつもりは今のところありませんが、彼らのクリエイティブな、どこかしら日本語脳感じるデザインを纏う服----愛用していきたいと思っています。