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様々な時代の"良い日"に生きる人々の物語を映画で伝える"YOIHI PROJECT"の劇場映画第1弾『せかいのおきく』

江戸末期を舞台に、貧乏長屋で暮らす、声を失った武家育ちの娘おきくと、社会の最下層で人々の糞尿を売り買いして生きる青年・中次と矢亮の青春物語。

映画『せかいのおきく』海外版ティザー予告

阪本順治が、先進的な循環型社会を実現していた江戸時代を舞台に、オリジナル脚本で贈るモノクロ時代劇。「映画 イチケイのカラス」の黒木華、「ホテルアイリス」の寛一郎、「シン・仮面ライダー」の池松壮亮。
美術監督として活躍してきた原田満生が発起人となり、気鋭の日本映画製作チームと世界の自然科学研究者が連携し、様々な時代の"良い日"に生きる人々の物語を映画で伝える"YOIHI PROJECT"の劇場映画第1弾。

*TAO LABより
この映画、見ましたか?
昨年、鑑賞していましたが、このタイミングであらためてこちらにてご紹介いたします。

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江戸時代〜人口3000万人、江戸には100万人が住んでいたという。
士農工商、封建社会...どちらかというと学校で教わったり、映画やドラマで描かれると不自由で窮屈、なんとも真っ暗な時代というイメージ。
それに比べると明治以降は、さらに戦後は...と思っていましたが、イヤハヤ、与えられた情報ではなく、自ら調べてみたらそれは物質的な繁栄のことで、、、

モノは豊か、大消費...結果、皆が幸せになったかというと???地球は素晴らしい惑星になったのかというと???

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江戸時代にあった、そして、世界が西洋化してから無くなってしまい、ここに来てあらためて世界中の方々が気にしているモノの循環という発想。

「お天道さまがみている」〜「もったいない」というコトダマ。「感謝」「ありがたさ」を行動に移し、日々の暮らしの中でこの映画で描かれているように持続可能、循環型社会、サーキュラーエコノミー、バイオエコノミーなんて言葉が生まれる以前から「うんこ」を大地に返すという仕事が当たり前の如く成立していた昔の母国。

さらに「宵越しの金を持たず」...ここ、素晴らしいです〜お金に対する不安がないというか、この宇宙で生きていく上でお金より価値の高いものを尊び信じ、仰ぎみていた証。
定期的に起こる火災や天災が来たら、また、生活も家も建てなおしてやり直せばよいというなんとも「諦め」ではなく「明きらめ」...「強靱」というか「おおらか」「たおやか」「しなやか」なメンタリティ。

江戸の人々の暮らしぶり。
そしてそれは、「修理・再生業」「回収業」といったさまざまな「仕事」によって支えられていました。循環型社会のために必要な「Reduce(ゴミ削減)、Reuse(再利用)、Recycle(再資源化)」の「3R」が、すでに江戸時代に実践されていたのです。

数ある回収業の中でも、江戸の町並みと人々の健康を保つ上で大きく貢献したのが、「下肥(しもごえ)買い(汚穢屋:おわいや)」でした。
江戸の人口の増加に伴い、近郊農家ではより多くの収穫が必要となり、最も効果のある肥料として期待されたのが糞尿。肥桶を担いでその回収に回ったのが、汚穢屋です。特別な設備もエネルギーもいらず、ただ集めるだけでチッソやリンを豊富に含んだ有機肥料を入手できたのですから、近郊の農家は競ってそれを求めました。
長屋で暮らす熊さんや八つぁんが、店賃を滞納してものんびり構えていられたのも、実は、店子(たなこ)の排泄する糞尿が大家さんの収入源になっていたからなのです。

江戸で排泄された大量の糞尿は、汚穢屋によって買い取られ、汚穢舟に積まれて近郊の農村まで運ばれました。そしてたっぷりの栄養で育てられた野菜は、逆コースをたどって江戸へ行き、その野菜と交換で排泄物を回収し、また肥料にする。こうした無限リサイクル・ループのおかげで、人口100万人の江戸の町並みは清潔に保たれ、大都会には珍しく、江戸では新鮮な野菜を食べることができたといいます。

調べてみたら一樽現在の貨幣価値で500円くらいになったそう〜なんとも現在から考えると大変な仕事ではありますが、汚穢屋さんがどのくらいの利益があったのか判りません。
利益という考えではなく、まさしく、もったいない精神で生き続けるための「3R」が目的だったのでは?

足元、歴史を振り返ったら当時の日本の暮らし方の良さを今の私たち日本人が改めて確認し、昔に戻ると云うよりはそれを今風に吸収改良、そんなネオ江戸生活システムを未来に恩返しする〜そんな時代を迎えましたね。

余談ですが時たま「カラー」となりますがこの映画、基本は「白黒映画」...本来、有り得ない世界=非日常ですが、映像になるとカラー=日常よりなんといいますか、景色も表情もより鮮明になるというかクッキリするというか〜『ゴジラ-1.0/C』未見ですがあらためて観たくなりますね。

"YOIHI PROJECT"の第二弾は『プロミスト・ランド』

山形県庄内地方の集落に暮らす、マタギ文化を継承して生き続ける男たち。彼らは山と共に暮らす。山の神を信じる、生きているものには魂があると信じている。マタギとは?時代が変化し、消えつつあるマタギの精神を記録するしたドキュメンタリー『MATAGI -マタギ-』を監督した飯島将史の初劇場実写作品。

1983年に第40回現代小説新人賞受賞「プロミスト・ランド」を38年の時を経て実写映画化。
過疎化し侵害されつつある山の集落で、禁じられた熊撃ちにあえて挑む男達。自然と共に生きるマタギの文化と人々。それは消えつつある文化。自分の進むべき道を理不尽に閉ざされ、それでも信念を貫き、熊討ちに賭ける男と、それに付き添う若者を描く2 人の男の物語...とのこと。

こちらも楽しみです〜:)

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