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「自他一如」〜医の現場から見えること〜 by 岡田恒良

第二十九回 『千島喜久男博士生誕120年を祝し勉強会を開始した』

岐阜大学教授、医学博士千島喜久男氏は、1899年岐阜県の生まれ。今年はちょうど生誕120年になります。いまだに千島博士の画期的な研究業績が世に十分認知されていません。とても残念なことです。

このたび知人の協力を得て千島学説勉強会を開催する運びに至りました。第一回は令和元年9月6日金曜日に無事終了しました。たくさんの関心のある方々に集っていただき、わかりやすく情報を分かち合うことができました。今後も毎月第一金曜日18時から開催していきます。
(次回は10月4日金曜18時 於:なごやかクリニック栄ノバ7F)

千島の世界は非常に奥が深く、原子や宇宙のこと、進化のこと、遺伝や生命発生のこと、また共鳴、シンクロニシティに関することなど多岐にわたります。もちろん腸と血液のことは当然です。
そこで最初のテーマは柔軟性!としました。柔らかい=柔軟な頭脳がなければこの学説は受け入れられるものではありません。また血液の流れは柔軟な血管、血球、細胞膜があってのこと、それには柔軟な体、柔軟な関節、筋肉も必要です。
 
そもそも生物の発生は38億年前の原核細胞から始まります。そこに大きな地球大異変が起こり生き残りを余儀なくされます。
絶滅しそうな悪条件の中で生まれたのが真核細胞です。22億年前のことです。大きさも格段に大きくなって様々な細胞内小器官(オルガネラ)が生まれました。つまり核、ミトコンドリア、葉緑素、小胞体などです。これらはすべて原核細胞の合体だったのです。こうして細胞は進化していきます。
さらなる大絶滅を経験した生命体は、5.8億年前についに多細胞生物となって表れます。真核細胞が互いの長所を持ち寄り合体、大きな生命体になったのです。

さて赤血球を見るとそこには細胞内器官はありません。中身が均一で核膜がないので核もありません(核酸物質はちゃんと存在)。もちろんミトコンドリアや小胞体もないのです。つまりこれは38億年前に生まれた原核細胞と共通です。そして白血球、これは細胞内小器官が揃った真核細胞の仲間と言えます。
つまり原核細胞→真核細胞→多細胞(臓器)という変化が、現在も身体の中で行われている、これが千島の学説なのです。

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旧来の学説は、全身の細胞の成長はその部位で細胞分裂をして大きくなると信じられてきました。しかし実際には分裂像は滅多にみられていない!近年では幹細胞説が有力となり、幹になる特殊な細胞が万能細胞となってあらゆる臓器の細胞に変化するという考えになってきました。これぞ千島がかねてから発表していた考えなのです。ただし、その幹細胞がはたしてどこにあるのか、どれくらいあるのか、どこからくるのか、これに関しては未だに山中伸弥博士も解き明かしてはいないのです。

ご存知のように虹の色は七色ではありません。境目はなくグラデュエーションになっていることはお分かりと思います。同様に動・植物にも、雌雄にも移行型があります。中間型があるのです。生物と無生物のあいだも移行型があり、どちらともつかないものがあるのです。

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同様に生死にも見える世界と見えない世界にも移行型があるはずで、七色の虹のように名前に囚われた固定観念から物事を見ると、大切なものが見落とされます。
千島は原核細胞(赤血球)と真核細胞(白血球)さらに多細胞(臓器)の間には移行があって、赤血球から白血球が、白血球から臓器が作られていることを発見しました。
これが千島の世界です。


*著者 プロフィール
なごやかクリニック院長
名古屋醫新の会代表 
岡田 恒良(おかだつねよし)
https://www.facebook.com/tsuneyoshi.okada1
1955年岐阜県生まれ
1980年岩手医科大学卒
約20年消化器系一般外科医として通常に病院勤務。市民病院で外科部長として勤務中、ある先輩外科医との運命的出会いがあり、過剰医療や過剰投薬の現状に気づき、自然医学に目覚める。
1999年千島喜久男博士の勉強会を名古屋で主催、マクロビオティックの久司道夫氏の講演会企画をきっかけに病院を辞職。
御茶ノ水クリニックの森下敬一博士の機関誌《国際自然医学》に「自然医学の病態生理学」を長期連載。中山武氏の主催するがんの患者会「いずみの会」の顧問をしながら安保徹教授の講演会を開催し、親交を深めた。
看護学校にて補完代替医療について講義中。
2006年コロンビアのドクトル井上アトム氏に出会い、運動療法・自然療法の重要性を認識。以来南米に3度訪れる。 「自他一如」の探求は2000年から続く。

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