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値段と価値―なぜ私たちは価値のないものに、高い値段を付けるのか?

今回ピックしたのはラジ・パテル氏の二冊目の著作。2010年刊〜2019年に翻訳されたもの。

氏の一冊目の著作(2007年刊)の邦訳が出たのは2010年。タイトルの対比そのものが問題の本質をわかりやすく説明しており、大変興味深く、読ませてもらいました。
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肥満と飢餓―世界フード・ビジネスの不幸のシステム
著者 : ラジ・パテル

*ラジ・パテル氏
米国在住のエコノミスト、ジャーナリスト。
現在は、テキサス大学教授、そして南アフリカのロードス大学の上級研究員を務め、先進国と途上国の垣根を超えて国際的な研究・実践活動を進め、世界的に注目されている。1972年、ロンドン生まれ。父親はケニア出身、母親はフィジー出身。英オックスフォード大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス(LSE)を卒業後、米コーネル大学で博士号を取得。
世界貿易機関(WTO)、世界銀行に、エコノミストとして勤務した。その一方で、アクティビストとしても活躍し、世界的に報道された1999年のWTO閣僚会議(米シアトル)での数万人による抗議活動を組織した、オルガナイザーの1人である。以降、世界銀行やWTO、G8やG20などの国際会議の際には、「会場の内外」で的確な批判を展開する論客として大いに注目を集め、その活躍ぶりは社会的公正を求める世界市民運動の「ロックスター的な存在」(オーストラリア『The Mercury』紙)とも称された。
2016年には、「料理界のアカデミー賞」と呼ばれる米国料理界の最大の賞である「ジャームズ・ビアード賞」における「リーダーシップ賞」を受賞した。この賞は、食のあり方における持続可能性や社会的公正を推し進めることに、世界的なリーダーシップを発揮した人物に与えられるものである。
米英では、新聞・雑誌・テレビなどに頻繁に登場するが、ロサンジェルス・タイムズ紙、ニューヨーク・タイムズ紙、サンフランシスコ・クロニクル紙、オブザーバー紙、ガーディアン紙などに、定期的に寄稿している。また、2008年には、米下院の金融サービス委員会において「世界食料危機」の原因について報告を行なうなど、米政府の政策決定にも影響を与える存在である。

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値段と価値―なぜ私たちは価値のないものに、高い値段を付けるのか?
著者 :ラジ・パテル

*内容より
マクドナルドの「ビッグ・マック」は、日本では390円、スイスは728円、エジプトは195円で販売されているが、じつは環境保全や社会的コストを加えて試算すると、原価だけでも2万円を超えるとのこと。逆に、高級化粧品の直接原価は1%以下と言われるている。つまり2万円の香水でも200円以下となる。本書は、現在の経済システムで"値段"と"価値"は比例せず、まったく異なる基準で決定されているという事実を構造的に明らかにし、そうした経済と社会のあり方を問い直した書。

...とのこと

*TAO LABより
前著では「食」をとおして人類の問題を、そしてさらに今回はその問題とも重なりますが、さらに本質と解決の糸口を「値段と価値(原題はThe Value of Nothing)」というテーマで表しています。とはいえ、価値と価格の関係は数字だけで比べられるものではなく、その人の好みや基準、意識や精神性により値段とは違った、まさしく付加価値を産みだすものもあります。

一部の人間が作り出した紙に印刷された「お金」というシステム=錬金術=幻想ともいえるものが、「値段」と「価値」の絶対的基準になってしまっていることが現代の人類のもっともおおきな問題の一つかと。

ではどうしたらいいのか?たぶん、システムそのものの問題ではなく、人類の精神性の進化により自ら作り出したシステムをどう使うか?が唯一の処方箋では?

では、精神の進化とはどうしたらいいのか?それを考え、実践することがこの地球に産まれたひとつの目的なんだろうと思います。

余談ですが、パテル氏の存在を最初に知るきっかけとなったのは一冊目の著作ではなく、たまたま見つけた記事でした。その記事にはパテル氏がマイトレーア=救世主としてこのカリユガの時代に現れたと書かれていました。本人はもちろんそれを否定していましたが...。

個人的には救世主が現れ、さまざまな問題解決や悪を滅ぼすなんていうこは...有ったらそれこそつまらないし、申し訳ないかと思います。

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