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「自他一如」〜医の現場から見えること〜 by 岡田恒良

第十一回 東洋の医学の考え方

 東洋の医学の考え方は、西洋医学とは根本的に異なります。西洋では科学的根拠を求めます。なぜ治ったのか、なぜ効くのかが大切で、これを探求することが医学の重要な仕事です。
しかし「なぜ」の追求をしていくと実はキリがないのです。最終的には、原因は不明となります。結核菌が原因、ウイルスが原因、ホルモン不足が原因、一見わかりやすそうですが、感染する理由はわかりません。ホルモンが不足する原因もわかっていません。どこまでも細分化していき、現実から乖離してしまっている現代医学の運命がご理解していただけるでしょう。

 ところが東洋ではそんなことよりも、むしろ経験、過去の蓄積の方が大切です。なぜだか効く、それならそれでいい、という考えです。さらに診断も要りません。要らないというより、診断名が違います。

 西洋東洋.png

 インフルエンザウイルス感染症ではありません。風邪です。他にも湿邪(水分の排泄異常)や暑邪(体温の発散不足)もあります。一つの臓器に捉われず、全体性を重視します。
「証」というものがあります。証とは東洋医学的症候のこと、つまり体質を改善するのです。一見鎮痛薬のような対症療法にも見えますが、根深い体質までも改善していくので、簡便な対症療法ではありません。証にはまず表裏があります。

 頭痛、肩こり、湿疹などの急性疾患が表、長引く熱や腹痛などの慢性化が裏です。西洋医学はこの「表」だけに捉われています。西洋医学では慢性化しても同じ治療を続けます。これをさらに深めたのが六経です。太陽病、小陽病、陽明病の三つの陽と、太陰病、少陰病、厥陰(けついん)病の三つの陰に分けられます。急性発症が、徐々に慢性化していき、難治性になっていく過程を表しています。まさに現代の医療が不得意なことです。西洋医学にこうした考えがなく、初期のガンでも過剰な加療をしたり、軽い腹痛の症状をほっておいたりします。

 さらに証の見方で必要なことが、実と虚の体質を見抜く概念です。簡単に言えば、体力があるのに病気になった場合が実証、虚弱な体質が虚証ということでしょうか。さらに寒熱という概念もあります。火照りを感じるようであれば熱証であり、ゾクゾクした冷感があれば体温が高くても寒証となります。
 
 実虚、寒熱、表裏の概念に陰陽を合わせると4次元の診察=証の見方が可能というわけです。理論的には16通りになりますが、実際には、表・熱・実は、陽となり、裏・寒・虚は陰に相当するようです。これら証の見方を古くから八綱弁証と呼び、東洋医学の基本となっています。 ...続く


*著者 プロフィール
なごやかクリニック院長
名古屋醫新の会代表 
岡田 恒良(おかだつねよし)
https://www.facebook.com/tsuneyoshi.okada1
1955年岐阜県生まれ
1980年岩手医科大学卒
約20年消化器系一般外科医として通常に病院勤務。市民病院で外科部長として勤務中、ある先輩外科医との運命的出会いがあり、過剰医療や過剰投薬の現状に気づき、自然医学に目覚める。
1999年千島喜久男博士の勉強会を名古屋で主催、マクロビオティックの久司道夫氏の講演会企画をきっかけに病院を辞職。
御茶ノ水クリニックの森下敬一博士の機関誌《国際自然医学》に「自然医学の病態生理学」を長期連載。中山武氏の主催するがんの患者会「いずみの会」の顧問をしながら安保徹教授の講演会を開催し、親交を深めた。
看護学校にて補完代替医療について講義中。
2006年コロンビアのドクトル井上アトム氏に出会い、運動療法・自然療法の重要性を認識。以来南米に3度訪れる。 「自他一如」の探求は2000年から続く。

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