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「自他一如」〜医の現場から見えること〜 by 岡田恒良

第十回 動禅『東洋の運動=スワイショウ』

 2006年岐阜県大垣市ではるばる南米から来日中の自然医学の大家、井上真氏、通称井上アトム氏とお会いしました。その方の講座の中で最も強調されていたのが、他ならぬ運動の重要性です。特に下半身の安定=臍下丹田に重心を置くことが大切だと聞きました。種々の武道を習得された氏のお話は非常に説得力があり、その時推奨された運動が、スワイショウという名の実技で、中国の気功にある運動の一つです。
 
 まず肩幅に足を開き、膝を軽く緩めて立ちます。腰を水平に保ったまま左右に回転させます。

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同時に上半身も回転しますが、下半身の動きに委ねて上半身は脱力します。腕はブラブラ状態となり、ちょうどデンデン太鼓のような姿を想像して下さい。最初4分間はゆっくり小さい回転を続けますが、慣れたところで次の4分間は大きく回転させます。腕が体幹の前後に当たってポンポンと心地よい刺激になります。
次の4分間はさらに膝を上下させます。小さなスクワットを伴うわけです。これが一番ハードです。
そして4回目の4分間は最初のようにやや小さく回します。そして最後、5回目の4分間はしっかりと大きく回転させます。腕が大きく回って体にぶつかります。
4分間ずつ5回合計20分行うのが井上先生の指導です。

 その効能効果を紹介します。
回転する上半身を支えるため、下半身=膝や足首、骨盤がしっかり強化されます。同時に腰背部周囲の筋群、背筋・腹筋・腹斜筋・腹横筋などが鍛えられます。脊椎動物はすべてやわらかな脊椎を持っていますが、この運動で確実に柔軟な脊椎を作ることができます。そして、だぶついた腰回りが引き締まるだけでなく、消化管が強くなり、その他の内臓も元気になってきます。脊髄の血流も増してくることで、頭脳までもが明晰且つ発想も豊かになる。動く座禅=動禅と井上先生は呼んでいます。
 
 健康な身体を維持するためには、適度な運動は欠かせません。しかし勝ち負けが前提の運動というのは、とかく過剰になりがちで、怪我を伴う危険もあります。テクニックに関心が集まり、下手をすると仲間の中で不要な上下関係が生じます。運動という大切な鍛錬は、一切の勝ち負けと無関係に行いたいものです。

 さてスワイショウという実技は、中国の気功に由来するものと聞きました。誰にもできる簡便なものなので、最初はその驚異的効果に気づきませんでした。詳しくは下記のサイトでも紹介しています。
http://kikou.info/page/cat2/181.php

 一般社団法人名古屋醫新の会では、毎月3回、このスワイショウを中心とした健康講座を開催しています。 
http://nagoya-ishin.net/korekara/
 当会では、スワイショウのBGMに4分間の曲を使います。
日出克 唄の"ミルクムナリ"はノリの良い沖縄の曲、これを5回聴きながら計20分のスワイショウを毎日行って下さい。

一週間も継続すれば確実に効果が実感できます。 ...続く


*著者 プロフィール
なごやかクリニック院長
名古屋醫新の会代表 
岡田 恒良(おかだつねよし)
https://www.facebook.com/tsuneyoshi.okada1
1955年岐阜県生まれ
1980年岩手医科大学卒
約20年消化器系一般外科医として通常に病院勤務。市民病院で外科部長として勤務中、ある先輩外科医との運命的出会いがあり、過剰医療や過剰投薬の現状に気づき、自然医学に目覚める。
1999年千島喜久男博士の勉強会を名古屋で主催、マクロビオティックの久司道夫氏の講演会企画をきっかけに病院を辞職。
御茶ノ水クリニックの森下敬一博士の機関誌《国際自然医学》に「自然医学の病態生理学」を長期連載。中山武氏の主催するがんの患者会「いずみの会」の顧問をしながら安保徹教授の講演会を開催し、親交を深めた。
看護学校にて補完代替医療について講義中。
2006年コロンビアのドクトル井上アトム氏に出会い、運動療法・自然療法の重要性を認識。以来南米に3度訪れる。 「自他一如」の探求は2000年から続く。

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