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「自他一如」〜医の現場から見えること〜 by 岡田恒良

第六回 知ってそうで知らない抗酸化剤のこと

 酸素を必要とする生物体の運命として、体内で発生する有害な活性酸素をなんとか処理しなくてはなりません。意外と知られていないのが尿酸という物質です。尿酸値が高いといえば、すぐに痛風発作を連想し、尿酸が害であるかの印象を持っておられるかと思います。実は尿酸こそが、体内で合成している大事な抗酸化剤なのです。つまり尿酸値が高いということは、危険な活性酸素を除去しようとしているということに他なりません。別の言い方をすれば、活性酸素を処理しきれないので、尿酸を合成しているとも考えられます。つまり、十分に食事から抗酸化剤を摂取していれば、血中の尿酸を高める必要がないわけです。
 
 つまり尿酸値の高値は、活性酸素の異常上昇か、抗酸化剤の摂取不足か、その両方があるのでしょう。通常はプリン体(核酸の原料)の食べ過ぎと言われていますが、実際には抗酸化剤の不足も関係があります。痛風がなかなか治らない、食事制限でもなかなか治らない、薬をいつまでも飲み続けるのか?そういう質問がよくあります。

 そんな方は、ズバリ何かのストレス、多忙、睡眠不足、心配事、落ち着かない社会生活を過ごしているのではないでしょうか。ストレスなんかないですよって、豪語する方は、ご自分のストレスに気づかないだけでしょう。じっくりと聴きだすには少しお時間がかかります。徐々に日頃の生活が見えてきて、性格的にもストレスをたくさん抱え込んでいることがわかってきます。

 もう一つは、十分な抗酸化剤を食べていないのではないでしょうか。植物色素にはたくさんの抗酸化剤が含まれます。植物は一日中日光にさらされているので、その外から身を守ろうと、たくさんの抗酸化剤で大事な葉緑体を守っています。日光も紫外線も、なんと放射線も結局は活性酸素を放出するのです。

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 そのためポリフェノールやアントシアニンやカテキンなどの植物色素が、葉っぱに大量に含まれています。緑の葉緑体の周辺にたくさん含まれているのです。自然の野菜は緑が薄いのは、黄色い植物色素が多いからです。緑が濃いのは、ハウス栽培かなんかで葉緑体の周りに植物色素が少ないのかもしれませんね。

 いずれ抗酸化剤は、ミトコンドリアに必須の物質で、その減少は様々な不都合を生み出してしまいます。さあミトコンドリアをもっと元気にしましょう。 ...続く


*著者 プロフィール
なごやかクリニック院長
名古屋醫新の会代表 
岡田 恒良(おかだつねよし)
https://www.facebook.com/tsuneyoshi.okada1
1955年岐阜県生まれ
1980年岩手医科大学卒
約20年消化器系一般外科医として通常に病院勤務。市民病院で外科部長として勤務中、ある先輩外科医との運命的出会いがあり、過剰医療や過剰投薬の現状に気づき、自然医学に目覚める。
1999年千島喜久男博士の勉強会を名古屋で主催、マクロビオティックの久司道夫氏の講演会企画をきっかけに病院を辞職。
御茶ノ水クリニックの森下敬一博士の機関誌《国際自然医学》に「自然医学の病態生理学」を長期連載。中山武氏の主催するがんの患者会「いずみの会」の顧問をしながら安保徹教授の講演会を開催し、親交を深めた。
看護学校にて補完代替医療について講義中。
2006年コロンビアのドクトル井上アトム氏に出会い、運動療法・自然療法の重要性を認識。以来南米に3度訪れる。 「自他一如」の探求は2000年から続く。

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