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「五箇条の誓文」で解く日本史

『明治維新は「未完」だった!五つの指標で迫る近代150年の闇』 〜帯より〜

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「五箇条の誓文」で解く日本史
片山 杜秀:著

*出版社紹介文より
明治維新ひいては日本近代の精神を端的に表現している「五箇条の誓文」。そこに掲げられた「デモクラシー」「天皇制」「経済」「自由主義」「和魂洋才」は時を経るにつれ、どのような形で実現したのか。どのように歪められたのか。五箇条を切り口に、江戸から昭和、さらに平成にいたる日本史を明快に整理する。

*目次:
序 章「五箇条の誓文」と明治一五〇年
第1章 尊皇攘夷再考 ─「未来の攘夷」と「方便の開国」
第2章 明治国家のデザインの秘密 ─「王政復古」と「シラスによる政治」
第3章 大正デモクラシーとは何だったのか
第4章 昭和維新の論理 ─攘夷からアジア主義へ
第5章 非常時国家への野望と挫折
終 章「五箇条の誓文」と平成日本

*TAO LABより
大日本帝国憲法が制定される前の慶応4年3月14日(1868年4月6日)明治天皇が天地神明に誓約する形式で発した明治政府の基本方針です。

・五箇条の御誓文
一 広ク会議ヲ興シ,万機公論ニ決スヘシ。 
一 上下心ヲ一ニシテ,盛ニ経綸ヲ行フヘシ。 
一 官武一途庶民ニ至ル迄,各其志ヲ遂ケ,人心ヲシテ倦マサラシメン事ヲ要ス。 
一 旧来ノ陋習ヲ破リ,天地ノ公道ニ基クヘシ。 
一 知識ヲ世界ニ求メ,大ニ皇基ヲ振起スヘシ。 

・本書によれば、五箇条と現代日本の原則は一致している。
① デモクラシー
② 経済発展・殖産興業
③ 自由主義、国の発展と個人の立身出世の一致
④ 天皇制、国体護持
⑤ 学問のすすめ、和魂洋才

江戸時代に育まれた水戸学や国学、そこからあらためて意識された尊王。また、攘夷。維新の原動力である尊皇攘夷を掲げつつも攘夷はならず、方便の開国を選び、尊王開国として始まった明治。

そして、明治維新から先の大戦まで、年号でいったら明治・大正・昭和(戦前)、ある種、無謀とも思える70年余りの歩み。その歩みを新たな建国の理念として明治天皇が掲げたシンプルではっきりと明文化した「五箇条の御誓文」を柱に激動の歴史を俯瞰。

なるほどと思ったのはボタンの掛け間違いはあるが、維新で出来なかった攘夷を先の大戦で実行し、日本建国以来はじめてトコトン、ボッコボッコにやられてしまった...という体験。歴史にもしも?はないけど、必然はあると思います。また、その必然は時が経つと判るのは「良かったことが悪かったことの始まり」「悪かったことが良かったことの始まり」ということ。負けや失敗の体験は大いなる進化の肥やしになります。

そして昭和21年1月1日(1946年1月1日)、占領下のもとで初めて迎える正月元旦に昭和天皇は新日本建設に関する詔書を発しました。こちらも日本国憲法が施行される前。

茲ニ新年ヲ迎フ。顧ミレバ明治天皇明治ノ初國是トシテ五箇條ノ御誓文ヲ下シ給ヘリ。曰ク、
一、廣ク會議ヲ興シ萬機公論ニ決スヘシ。  
一、上下心ヲ一ニシテ盛ニ經綸ヲ行フヘシ。
一、官武一途庶民ニ至ル迄各其ノ志ヲ遂ケ人心ヲシテ倦マサラシメンコトヲ要ス。
一、舊來ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クヘシ。    
一、智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スヘシ。
叡旨公明正大、又何ヲカ加ヘン。朕ハ茲ニ誓ヲ新ニシテ國運ヲ開カント欲ス。須ラク此ノ御趣旨ニ則リ、舊來ノ陋習ヲ去リ、民意ヲ暢達シ、官民擧ゲテ平和主義ニ徹シ、敎養豐カニ文化ヲ築キ、以テ民生ノ向上ヲ圖リ、新日本ヲ建設スベシ。

〜以下略

明治天皇が発した「五箇条の御誓文」とまるで同じ。
なるほど、これが日本の理念であることは変わらないのですね。

明治=自由民権運動、大正=大正デモクラシー、昭和=戦後民主主義といわれるが、個人的には平成も終わりになる今、一神教+二元論に囚われている西洋的な民主主義というものを見直し、日本なら民主主義という"イズム"ではなく、和道という"道"を掲げ、歩んだほうがよいのではないかとあらためて思いました。また、もともと日本は西洋や東洋よりも先んじて"民主"というよりは"和"(と言ったほうがピッタリとはまる)を尊ぶお国柄なのですから。

さてさて和の道とは?
それをあらためて意識し、具現化。またその仕組を創るのが新たな年号で始まる時代のテーマではないかと。

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